長崎県波佐見町と佐賀県有田町、どちらも磁器の名産地だ。波佐見焼は日常の器、有田焼は料亭やハレの日の器という印象だったこの2つの町が隣り合っていると知った時、私は沖縄のやちむんを集めているし、持ち帰るのも手間だから…と、訪問を抑えていた気持ちが揺らいだ。1日で両方行けちゃうじゃん。気にいるものがなければ買わなければいいじゃん。もうだめだ。行く。
波佐見焼Shop Mignon(ミニョン)
というわけで長崎市からレンタカーでやってきた。今回はちょっと良い車が借りられたので、大村湾を横目に眺めながら下道で2時間ほどかけて到着した1店舗目はこちらのミニョン。
波佐見焼だけではなく有田焼も含めて置かれているセレクトショップ。お店はそれほど広くなく、洋食生活にすんなり溶け込めるようなデザインやサイズのものを厳選して置いてある。オシャレ度が高く、若いお客さんや一人旅のこだわり派!みたいなお客さんが多かった。
素敵だなーと思うものも多かったけど、一店舗目から買ったら際限なくなりそうで、ひとまず違うところも見てから…と次の店に向かう。
白山陶器本社ショールーム
私でも名前を知っている波佐見焼のメーカー、白山陶器。2階がショールームになっている。
やちむんを買うようになってから、その商品やデザインの意図を考えるようになった。伝統の形や柄だから変わりなく作られているもの、俺は他とは違うんだぜ!という目立ちたさが前に出ているもの、それそのものがアート作品のようで食器の範囲から外れているものなど、本当に色々なお皿がある。
白山陶器は日常使いの器であると同時に、器としての主張や個性をしっかり持った商品が多いなと感じた。料理を引き立てたり全体の雰囲気をランクアップさせるような、料理や食事そのものを器でしっかり下支えするぞ!という意思が感じられる。
本社ショールームは、大半の商品が定価の30%引きで購入できる。3割引きは大きいぞ!と、財布の紐も緩むというもの。
花瓶を買った。花のある生活に憧れているのに、そもそも花瓶がなかったのよね。つるんとした丸いフォルムと、青みのあるグレーがニュートラルな雰囲気で気に入った。高さは12cmほどで一輪挿しとしても使えるし、数本まとめて生けても良さそう。
外壁にも磁器が使われていて、いかにもという感じで良い。こういうの好き!
波佐見町陶芸の館観光交流センター
さーサクサク行くよ!次は町営と思われる施設の販売所へ。
ここで気づいたんだけど、波佐見のショップにはメーカーが自社製品を売るために運営しているショップと、仕入れた商品を売っているセレクトショップがある。ここは生産しているわけではないので、セレクトショップに近い。公営と思われるためおそらくどこの窯元も平等に展示販売しているのだと思う。となると当然ものすごい量になるわけで。もしどこか1店舗しか行くことができないなら、ここで全部見られるからいいかもしれない。でもこの中から自分の好みのものを探し出すのは本当に大変!!
こちらはその中でも少々整理されたエリア。やっぱりこれぐらい余裕がある展示じゃないと、一つ一つの良さがわからないな。
西の原
波佐見随一のおしゃれエリア、西の原にやってきた。古い民家や長屋、倉庫を生かしたレストランやショップが集まる一帯。海外のゼネラルストアのような雰囲気のお店やこだわりメニューの飲食店に雰囲気抜群の建物たち、ここでカメラの練習したら楽しいだろうな。
と思いつつ、あまりにもこだわりが強いところは少し苦手だ。オシャレな場所にはオシャレしていないとダメなんじゃないか…という気持ちになっちゃう。地味であることの安定感も強く主張したい。
西の原にも波佐見焼のショップがあった。いくつかのメーカーのものを扱っているセレクトショップ形態。NAGASAKIと書いてあるマグカップを買おうか買うまいか迷って、結局買わず。家に帰ればいくつもあるからね。
下道で来たせいもあり、思っていたより時間がないことに気づく。ここはのんびり楽しむ余裕がある時に、気心の知れた人とゆったり来ると楽しいのではないか、と思う場所だった。
OYANE
名前の通り、大きな屋根があるお店。1階はギャラリーのように明るくゆったりとした空間に、すてきな器たちが飾られている。
しかし見所は地下なのである。「陶芸の館」よりも多いのではないかと思うほどの器、器、器!そしてさらに奥は波佐見焼にとどまらず美濃焼やらガラス製品やらもうなんでもありの世界。
お皿を一番たくさん使うのは飲食店やホテル。きっとそれぞれに合った食器を注文して作ってもらったりするんだろう。作る側は試作したり、少し多めに作ったりする。納品したもの以外にも余剰が出る。その余剰を集めたのがこちら!!…というのは私の妄想だが、そんな妄想ができてしまうほど本当にたくさんの種類がある。子供の頃、こんなの家で使ってたなーと思うような器とか。購入に至るかは別として、こういうものを見るのもなかなか楽しい。
と言いつつOYANEでは買い物はせず、道を渡ったところにある小さなショップで収納食器を買った。この陶器+プラふたが便利で、自宅でもいくつか使っている。深い青が綺麗で即決。誰かのお土産にしてもいいかなと思ったけど、結局自分で使っている。青が好きなのだ。
アリタセラ
有田についてはどこに行くというのをあまり考えていなかった。あの華やかなお皿を買って自宅で使うとは思えなかったので、いくつかのお店で目が楽しめればいいや、ぐらいの気持ちだった。アリタセラはたくさんのメーカーや店舗が一箇所に集まっているエリアだ。
以前、有田焼を一つだけ持っていた。大阪に出張していた時に阪急うめだで買ったレンゲ。レンゲとは思えない値段だったけど、とても使いやすいしシーラカンスの絵が描いてあって可愛かった。大阪で借りていた部屋は洗い物を置くところが不安定で、滞在中に落として割ってしまったのだ。せっかく有田まで来たんだ、あのレンゲを買って帰ろう。
アリタセラの中で「レンゲ売ってますか?」と聞き回って無事ゲット!セットの器もゲット!(どちらかというとレンゲが「セット」なんだろうけど…)この器は「チキンラーメンを食べるための器を作る」というテレビの企画で日清と協同で作られたものらしい。企画は随分前のものらしいけれど、同じ形の器に様々な窯元が絵付けをしていて、同じ形とは思えないほどにたくさんの色柄があった。私はやっぱりシーラカンス!器もレンゲもすごく使いやすい。ちなみにレンゲは別デザインのものをもう一つ買った。
アリタセラのトイレは案内板まで焼き物でできていた。センスいい!得意なもの、特産品を全面に出しているのって好き。
帰ります
知らない土地で夜に車を運転するのが全く気にならないほど、運転がうまくない。しかも今日はいつもより大きい車だし。あまり暗くならないうちに帰りたいので、16時ごろ有田を出発した。長崎滞在もあとわずか、また下道でのんびり帰ろう。いろんな景色を目に写して帰ろう。
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