夜中に何度も携帯が鳴る。時差ボケで眠りも浅いので起きて確認すると、勤務先が他社に買収されるという話に驚いた同僚達からのメッセージでLINEがカオスになっていた。こんな夜中になんつーことだ。
WiFiと離れがたいが今日はツアーに申し込んでいるので出かける。エイヴベリーとストーンヘンジに行くツアーだ。リコンファームをしていないのは特に問題なかったようで、普通に迎えが来た。今日は私を含めて3人で、あとの二人は60代のデンマーク人夫婦。優しそうでとてもいい。
ガイド兼ドライバーの話は半分ぐらいわかる。つまり、肝心なところがイマイチわからない。でも別にいい。こちらはある種のオタクなので、普通のガイドが普通に話すぐらいのことは大概知っているし、案内板をちゃんと読めば大抵のことはわかる。
道の途中の畑のようなところに車を停める。丘の上にある遺跡を見に行くようだが、先程からの雨で道がぬかるみまくっており、白いスタンスミスが泥にズブズブ沈む…!仕方ないので何かを栽培した後と思われる草のあるところを歩く。畑みたいなのに黒曜石の破片が無数にある。
丘の上にあったのはウエスト・ケネット・ロング・バロウという墓として使われていた遺跡で、石室が土で覆われているのが日本の古墳のよう。意味ありげに丸い?四角い?ところも似ている。
エイブベリーに到着。ここは巨石群の中に村が築かれ、人々の生活と巨石が一体化している不思議な街だ。巨石に触れるのですごく楽しみにしていた。が、雨はだんだんひどくなり、コートはずぶ濡れで重くなり、足元はひどくぬかるむ。が、長靴を履いたガイドは全く気にせずどんどん進む。
イギリスには木にリボンを結んで神様?精霊?に願いを聞いてもらうという風習があるらしい。日本のおみくじに似てると言われたけど、灰色の霧の中にそびえる大木の梢にリボンがはためく様子はどちらかとホラー寄りだ。神様よりは魔女の領域。
風も雨も強く、びしょ濡れ泥んこのとんでもないツアーになった。疲れと風でガイドが何を言っているのかもよくわからなくなってきた。
でも、こんな天気でもこの村とこの遺跡の素晴らしさはよくわかった。村の売店でエイブベリーの本を買う。晴れてる日にまた来たいなあ。巨石の中で羊が草を食べている風景はきっと晴れが似合うだろう。
車でストーンヘンジへ向かう。コートが濡れてて風が強いので寒い。
ストーンヘンジは見学通路がきっちり整備されていて、あの有名な巨石にはそれほど近づけない。地中に眠る遺跡とストーンヘンジそのものを保護するための措置だそうだが、かつて聖地だったはずの石たちは全てと切り離されてただの観光スポットになっていた。
エイブベリーの石たちは、サークルを形成していた石の多くを失いながらもまだ何か神秘的なものがあったが、ストーンヘンジにはもう力はなさそうだった。この石たちを本当に崇めた人はもういないのだから、仕方ないのかもしれない。
ロンドン市内に19時ごろ到着。テスコで夕飯を買って帰った。
泥だらけの靴とズボンをバスルームで洗う。機内から持ってきた歯ブラシが役に立った。今日は体が冷えたので入浴剤を使ってお湯を張った。
ホストに明日はシャーロックホームズ博物館に行こうかなと言ったら、あんなの単なる作り物よと言われた。確かに。