緊急事態宣言で延期になった出張も、宣言解除とともに再開。今回は長崎。1クール2週間なので、必然的に土日も1回は現地滞在することになる。コロナのことがあるとはいえ、狭いビジホに二日間閉じこもるのは耐えられない。出張前の抗体検査は陰性だったし、三密にならないよう気を付けつつ、ちょっとお出かけしてみる。
行き先は雲仙・島原。雲仙普賢岳の噴火で埋まった家がそのまま保存してある場所があるらしく、それが見たいのだ。
物心ついてから明確に記憶のある自然災害は、雲仙普賢岳の噴火だ。吹き出す溶岩の赤さや、粉塵を巻き上げて駆け下る土石流の映像は子供心にも恐ろしく感じたのを覚えている。
唐比ハス園
長崎駅前でレンタカーを借り、ナビに従って車を走らせていたら「唐比ハス園」を通りがかった。何日か前に存在を知ったのだけど、ハスの花は9時には閉じてしまうと書いてあり、間に合わないので諦めたところだ。遠目で見た感じではまだ観光客がいるので、ちょっと寄ってみることにした。
朝方まで降っていた雨が、花や葉の上で光っている。雨が似合う花の代表格は紫陽花だと思うけど、ハスの花には水が似合う。高知の「モネの庭」に行ってから、蓮の花がすごく好きになった。
このハス園は散策路が整備されているけれど、花見用ではなく泥炭湿地帯という地形を活かしてレンコンの栽培をしているらしい。
帰ったら三脚の購入を真剣に検討しよう…と思いつつ出発。結局一時間ぐらいいた気がする。11時近くでもまだ咲いている花もたくさんあった。
まさかの雲仙温泉経由
ナビに導かれるまま、島原へ向かう。雲仙温泉経由で島原に行かせる気か…?と気づいた時にはすでに雲仙に向かう曲がりくねった山道に突入し、戻ることすら難しい場所まで来てしまった。あんな曲がりくねった道は久しぶりに通った。日光や箱根よりも更に山深く、標高が上がるにつれ霧が立ち込め周囲は見渡す限り白い世界。10mぐらいしか視界がなく、ヒイイイ!!と思いながら超徐行運転で進む。後ろの車が気になったけど、対向車線で崖に突っ込みフロントぺっちゃんこな事故車を見て、マイペースで行くしかないと心に決めた。
そんな思いでたどり着いた雲仙温泉、立ち寄ることもなく山を下る。温泉大好きなんだけど、硫黄泉に入ると肌がかぶれたように真っ赤になってしまうのだ。「湯かぶれ」とか言ったかな?体質というか肌質というか、一定数いるらしい。なので、硫黄泉には自分から積極的には入らない。
お昼ごはんと被災家屋保存エリア
雲仙のアップダウン&ヘアピンカーブで神経をすり減らし、少し酔って疲れたのでまずは昼ごはんを食べることにする。
道の駅「みずなし本陣」で「具雑煮穴子そうめん」を食べる。特産品が渋滞して、本来どういうものかよくわからなかったけど味はとても美味しかった。なんと言ってもおつゆが美味しい!やっぱアゴだしだからかな?
道の駅のすぐ隣に、今回の目的である土石流で埋まった家々を残しているエリアがある。雲仙普賢岳の噴火から30年ぐらい経っているけど、日本は現在進行形で自然災害の猛威にさらされている。被災エリアに人を住ませないのが1番の解決方法だろうけど、生活の痕跡の残る家々をみると、やはりそう簡単に今の暮らしを手放すのも難しいなと実感する。「自然には逆らえない」を前提として、その上でいかに生活をしていくかを考える時期に来ているなと思う。
展示充実、がまだすドーム
目的地のひとつ、がまだすドーム。雲仙普賢岳の被害や復興を目指す施設だ。内部は撮影して良いのかわからなかったので、写真はなし。
数年間にわたる雲仙普賢岳の噴火活動に伴う火砕流・土石流をプロジェクションマッピングで投影して再現している模型が興味深かった。同じ噴火口かであれば、山の地形に沿って溶岩が流れる場所がある程度決まっている。そして島原は元々噴火の結果としてできた地形に生まれた街なのだ。
驚いたのは、今もまだ土石流等の危険が完全に去ったわけではなく、土石流を防ぐ堤防は今も現役だということ。
島原は日本で初めてジオパークというものに認定された土地らしい。確かに、約30年前に起きた噴火を今も警戒することと、自然豊かな土地で生きることを同立させている地域は日本ではあまりないだろう。
さて、目的だった噴火関連施設の見学は終わった。
親御さんが島原出身の友達に、良さげなスポットをいくつか教えてもらったので行ってみる。
「かんざらし」を食べる
浜の川湧水という、共同水利施設。昔からあるらしい。上から順番に食器を洗う場所とか、洗濯する場所とか決められている。
お目当ては、その横にある甘味処「銀水」。雰囲気ある!いいな、かき氷も美味しそう。
こちらが一番人気の「かんざらし」。甘いシロップの中に小さい白玉が入っている。シンプルで美味しい。シロップは結構甘くて、べっこう飴みたいな味。お店の人に聞いたら、何種類かの砂糖をブレンドして作っているらしい。白玉を食べた後のシロップをどうするのかよくわからなかった。水で割ってちょうどいい甘さに…とか書いてあったのでやってみたけど、まあ砂糖水なわけで、甘いものは大好きだけどちょっとこれ単体では飲めなかった。他の席の人をチラ見したら、飲み干している人もいた。なにが正解かはわからない。
島原温泉
次は島原温泉の足湯。ここは足湯利用だけなら無料(駐車場代金はかかる)。湯加減も、さらっとした泉質もかなりいい感じ。普通に温泉入りたい!と思ったけど、帰りの時間制限と、お風呂入って眠くなったら運転危ないので断念し、足湯だけ。雲仙温泉の九十九折はもう通りたくないので、時間はかかるが島原半島の北側を海沿いを走りながら諫早方面へ出て帰ることにする。
子供の頃、夏休みに親の実家へ帰る友達が羨ましかった。「ぼくの夏休み」的な田舎にすごく憧れがある。畑があって、山があって、海があって、高い建物がなくて、道路沿いの店は個人商店…みたいな田舎の景色が大好きだ。島原もけっこう田舎で良いところだった。
これにて雲仙・島原の日帰り旅は終了!
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