学生さんの夏休みを避けて、やっとモネ展に行ってきた。横浜美術館、メチャ久しぶり。
モネと言っても横浜だし、都内の美術館ほど待ち時間はないでしょ…と高をくくって10時開館に合わせて行ったところ思いがけず長蛇の列!そうだ、会期終了が近づくと招待券持ちが押し寄せるのだった…。私はチケットを買うのに20分ほどかかった。
「日本人は印象派が好き」とは良く聞くけど、なんでなんだろうね?
とりあえず私が好きな理由としては
・前提知識がいらない。
印象派以前の西洋絵画は聖書や歴史が主題なので、知識がないと見ただけでは何の絵なのかわからない。普段から多少興味持って勉強して、説明読んでやっと理解する感じ。
・色遣いが華やかで明るい、家に飾ったらどうかな?っていう目線で見られる。
同じく印象派以前の西洋絵画は教会や宮殿の装飾過多な室内(照明はろうそく)に置くのが前提だから、明暗のコントラストが強いしイチイチ物語があるし表現もゴージャスでとにかく全体的に自己主張が強い。「峠を越えるナポレオン」とか、リビングに欲しいかい?セザンヌの静物画とかゴッホの星月夜のがいいでしょ?
・少々抽象的な表現が逆に「アートだな!」って思えてなんかイイ。
カメラというものが発明されて以降、写実的なだけでは芸術にはならない。よって同じく印象派以前の西洋絵画は「すごいねぇ、うまいねぇ」止まりになりがち。見たままを描かないとなると、そこに何を見出すかはモチロン画家によって違う。それがダイレクトに感じられるのが楽しい。
・西洋でのジャポニズムとセットで説明されるので、親近感がある
そりゃ全く何の関係もないより、浮世絵に影響を受けて…とか言われたら「ほぉ?それで?」ってなるよね。好きって言ってくれる人を好きになる、みたいなもんか。
など。はい、西洋絵画後進国丸出しの感想でした。当たり前です、日本は東洋であり芳醇な独自文化がある。ごはんとパンに上下がないように、なんでも外国人と同じである必要はないのです。なんの問題もありません!では行ってみよー。
これは完成しているのか?と思う一方、これでもモネらしさ(わたし的には薄紫と水面に白が入っているあたり)が出ているのがすごい。光の揺らぎをキャンバスに移すために、この段階からもうこの色を重ねていくのか、と。
大昔に油彩を習っていた身としては、誰のどの絵を見てもどうしても「タッチ」が気になる。何かを表現するのに、どの色を選び、どういう筆使いで、どう絵の具を置くのか。この絵には絵画としての完成度とは別の面白さがある。
そして個人蔵…うらやましすぎ。私も小っちゃいのでいいから欲しいよう。
輪郭がもやんもやんとした表現が多いモネの絵において、こういう先っぽの尖った葉っぱ的なものがくっきりと描かれているのは珍しいように思う。水草の影よりも睡蓮の葉が上に来ていて、水の色と葉の色を同時に持っているから、これは影ではなく「水面への映り込み」なわけだ。はあ、すごい。
(以上2点の絵は公式HPより)
100点弱の展示の中で、実際にモネが描いたものは半分程度。サイズも決して大きくはないし、他はオマージュやインスタレーションなど関連作品であることを踏まえると、上野で開かれる諸々の特設展と同レベルの価格設定は正直高いと思う。招待券で見たかったな~会場もけっこう混んでたし…。
箱根のポーラや大原美術館からいくつか来てて、ほかにも国内の聞いたことない美術館からも来てて、そもそものモネの作品数の多さと共に日本人ってモネ好きだよねと改めて感じた。国立西洋美術館のあのでっかい睡蓮とか借りて来られてたら良かったのにねぇ。キュレーションの観点から特設展を見ると、色々面白い発見があるな。きっと美術館同士のパワーバランスとかあるんだろうな。わくわく。
5月に北川村のモネの庭に行ってから少し高まっていたモネ熱が、今回また少し高まった気がする。本物のジヴェルニーはどんな感じなんだろうな~。来夏にでも行って見てこようかしら。
おしまい。